CASE STUDY : 01

2つの風景に溶け込み、街を1つにつなぐショッピングモール。Mitsui Shopping Park LaLaport 台中

ぽっかり空いた街の空白にできること。

ぽっかり空いた街の空白にできること。

計画地は280万人を超える人口、年間4,500万人以上の観光客が訪 れる台湾第三の都市、台中の中心市街地に位置しています。

その計画地は長い間、巨大な工場の跡地として街を分断する空白のエリアとして残されていました。 周囲は駅前の市街地、昔ながらの市場、豊かな自然など、様々な個性を備えた場所である一方、分断されているエリアをどう繋いでいくかが課題でした。

そのなかで計画されたこの商業施設がどのような役割を果たせるか、街を埋めるピースとしてどんなカタチが最適なのか、初期のスタディから開業までのストーリーをご紹介していきます。

※2023年1月時点

分かれた敷地を逆手に、2つの個性を持ったSCへ。

通常のショッピングモールではなるべく広く低層に抑えることで、回遊性を高めるケースが多いですが、
計画地は大小2つの敷地に分かれており、それぞれの土地は大型商業施設には少し手狭な大きさでした。

1つの敷地で計画すると高層化してしまうことから2つの敷地であることを逆手にとり、
敷地ごとの大きさに合わせたプランを考え、それらを2層構造のブリッジで繋ぐこととしました。

2つの建物はMDや店舗区画をそれぞれ面した街の個性に合わせて計画することで、
駅前の市街地から南の住宅地へと、自然と街の動線が繋がるよう意図して計画されています。

街の個性に合わせた2つのデザインコンセプトとモールのつくり

駅前の北館は小型の物販店舗や飲食店舗を中心とした回遊型のサーキットモール構造。
「アーケード」をコンセプトとし、都心市街地にふさわしい上質なデザインを目指しました。

一方、住宅地側の南館は吹抜け空間を中心とした大型店舗構成のアトリウムモール構造。
「マーケット」をコンセプトとし、賑わう市場のようにおおらかなデザインを目指しました。

構造

BLOCK-CARCADE

個性豊かな店舗が軒を連ねる“アーケード”

駅前のアーバン立地であり、サーキット型の回遊モール動線となるC街区。都心の駅前商業ならではの洗練された上質なデザインに、外装のデザインテーマである“NATURE”から木の素材感やぬくもり、柔らかな光の射す明るい空間をデザインのエッセンスに加えました。

モール構造 CIRCUIT MALL

BLOCK-EMARKET

大きな建物の中で賑わう“マーケット”

住宅街立地であり、中心性を持った大きなアトリウム型空間となるE街区。日常的な利便性を備えた商業として、カジュアルな素材感やデザインに、外装のデザインテーマである“CULTURE”からレンガの素材感や市場の持つダイナミックな空間を取り入れました。

モール構造 ATRIUM MALL
フロアごとの環境デザインコンセプト

フロアごとの環境デザインコンセプト

北館の5層のフロアでは施設が街と繋がる一部であることを意識し、各階フロア全体で一つの建物であると位置づけました。

南館と繋がる2階と3階を地上と捉え、1階を地下、5階をペントハウスとした 環境デザインコンセプトを設定し、それぞれに見合うMD計画とともに デザインを設えています。

Floor design positioning

Floor

2つの棟を繋ぐ“たまり”をつくる。

2つの棟を繋ぐ動線上には大きな3つの吹き抜け空間をつくり、
それぞれに役割を与えました。

1.市街地からの訪れる人を“迎える”北館駅側の広場
2.地域に住まう人が“憩う”南館の広場
3.訪れる人と住まう人が共に“集う”北館南側の広場

design diagram

街の空白を埋める“街”のような商業施設づくり

街の空白を埋める
“街”のような商業施設づくり。

商業施設として事業的成功へと導くための計画やデザインが大事 である一方、今回のように都市の動線、あるいは街のインフラ的機 能も備え、地域にワクワクを届けたり、地域の価値を高めることが ランドアートラボのもう一つの使命だと考えています。

それらは相反するものではなく、共存し高め合うことができるもの と信じて、地域に貢献できるような商業施設をこれからもつくり続 けていきたいと思っています。

概要

所在地
台湾 台中市東区進徳路700号
設計
大壮聯合建築師事務所
環境デザイン
外装・ランドスケープ / 株式会社石本建築事務所、Buchan、FORMium LANDSCAPE ARCHITECTS
内装 / 株式会社ランドアートラボ
施工
大成建設株式会社(日商華大成営造工程股份有限公司台湾分公司)
用途
ショッピングモール
構造
RC造
階数
北館 / 地下1階 地上7階(店舗1~5階)
南館 / 地下1階 地上4階(店舗 地下1階~3階)
面積
【敷地面積】約43,000㎡
【延床面積】約198,000㎡
【店舗面積】約68,000㎡
店舗数
約300店舗
竣工年
2023年5月
業務期間
2016-2023年
業務内容
企画設計・内装商環境デザイン
担当
清水祐 高橋祐二 于倩
協力
照明デザイン/Lightmoment Inc